相続税の申告要否は、預金だけでは判断できません。不動産、保険、名義預金の可能性、債務、過去の贈与などを含めて全体を確認する必要があります。

基本の確認手順
  1. 法定相続人を確認する
  2. 財産を漏れなく洗い出す
  3. 債務と葬式費用を確認する
  4. 正味の遺産額と基礎控除を比べる
  5. 特例と申告期限を確認する

1.法定相続人を確認する

基礎控除の計算には、法定相続人の数を使います。戸籍を確認し、配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹など、民法上の相続順位に沿って確認します。

養子がいる場合や、相続放棄がある場合、すでに亡くなった子の代襲相続がある場合などは、人数の数え方に注意が必要です。

2.財産を洗い出す

金融資産預貯金、有価証券、投資信託、貸付金など
不動産土地、建物、農地、貸家、共有持分など
その他死亡保険金、退職金、自動車、貴金属、事業用財産など
生前贈与相続時精算課税の対象財産や、相続税の計算に加算される贈与財産など

預金は死亡日時点の残高だけでなく、直前の大きな出金や家族名義の預金も確認します。名義だけで判断せず、誰が資金を出し、管理していたかという実態が重要です。

3.債務と葬式費用を確認する

借入金、未払医療費、未払税金など、一定の債務は財産から控除できる場合があります。葬式費用も対象範囲を確認して整理します。

領収書だけでなく、請求書、通帳の支払記録、借入金残高証明などを保管してください。すべての支出が控除対象になるわけではありません。

4.基礎控除と比べる

相続税の基礎控除

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

財産から非課税財産、債務、葬式費用などを差し引き、加算対象となる贈与財産などを加えた「正味の遺産額」が基礎控除を超える場合、原則として相続税の申告と納税が必要です。

不動産は固定資産税評価額をそのまま使うとは限りません。土地の形状、接道、利用状況、賃貸の有無などによって評価が変わるため、財産額が基礎控除に近い場合は早めの確認が必要です。

5.特例を使う場合を確認する

配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用すると、納付税額が0円になる場合があります。しかし、これらの特例は、適用を受けるために相続税申告書の提出が必要となることがあります。

「税金が0円」と「申告不要」は同じではありません

特例の要件、遺産分割の状況、添付書類まで含めて確認してください。基礎控除を超えているのに、特例適用後の税額だけを見て申告不要と判断しないことが重要です。

申告期限は原則10か月以内

相続税の申告と納税は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内が原則です。提出先は、通常、被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署です。

10か月の間に、戸籍収集、財産調査、評価、遺産分割、申告書作成、納税資金の準備を進めます。不動産や非上場株式がある場合、相続人間の調整が必要な場合は、早めに着手する方が安全です。

まず集めたい資料

  • 被相続人と相続人の関係が分かる戸籍
  • 預貯金、有価証券、保険の資料
  • 固定資産税納税通知書、登記事項証明書
  • 借入金、未払金、葬式費用の資料
  • 過去の贈与と申告の資料
この記事について

一般的な確認手順をまとめたものです。相続人、財産、過去の贈与、特例の適用状況により結論は変わります。